借金が多額であったり、収入が少なかったりすると、司法書士や弁護士に相談した場合に自己破産を勧められることがあります。

 

自己破産は借金がなくなるので、リスタートするために有効な手段の一つですが、不動産や車の売却、保険の解約などを伴う場合もあり、職業の制限があったり、心情的に自己破産だけはしたくない、という方もいたりします。

3か月前に相談に来た方も、他の事務所で破産を勧められたものの「破産など裁判所を使う手続きはしたくない」といって私のところに来られた方でした。

今の家計表を見ると、破産以外の方法は厳しい…と思う状況でしたが、破産や個人再生手続をしないで済むのならアルバイトを掛け持ちし、節約した生活もするという気持ちを持っていました。

 

自己破産は最も早く負担のない生活に戻れる可能性が高いとはいえ、依頼者の意思を置き去りにすることはよくないと思い、「2か月様子をみましょう」ということで依頼を受けて生活状況を見守ることにしました。2か月後に分割で返済していくことが不可能な家計状況のままであった場合は、破産・個人再生など、法的な手続きをすると約束をしました。

 

2か月後、しっかりと家計を持ち直してくれました。

破産ではなく任意整理に方針を切り替え、債権者とも無事に和解を整えることができ、依頼者も希望通りになってよかったと言われています。

 

専門家は今の状況だけを見て、方向性を決めつけがちですが、主体はあくまで依頼者本人であるため、依頼者の希望がかなうように寄り添うことが大切だなと思うことができました。

中には、状況が良くならずに希望通りにならない方もいます。それでも、本人が一番納得する方法を一度は試してみる、それに付き合うのも専門家の仕事だと思います。